出来高請求のやり方進捗率の決め方と、契約金額との合わせ方

着工から完工まで半年。その間の外注費と材料費は先に出ていきます。資金繰りを持たせるのが出来高請求です。

出来高請求とは

出来高請求とは、工事の進捗に応じて契約金額を分割して請求する方法です。 完工まで待たずに、その月までに仕上がった分だけを請求します。部分請求、出来高払いとも呼ばれます。

必要になる理由は資金繰りです。着工から完工まで半年かかる工事でも、 外注費や材料費は毎月出ていきます。完工まで入金がないと、その間の運転資金を自社で立て替えることになります。 工期が2か月を超えるあたりから、出来高請求を組む前提で契約するのが一般的です。

ポイント

出来高請求をする場合は、契約書に請求のタイミングと方法を書いておきます。 「毎月末締め、翌月末払い、出来高査定に基づく」といった形です。後から言い出すと交渉になります。

出来高率をどう決めるか

出来高率は感覚で決めるものではありません。工種ごとの進捗を、工種の金額で重み付けして出します。

その月の請求額 = Σ(工種の契約金額 × その工種の進捗率)− 前回までの請求済み額

たとえば防水工事800万円が50%、シーリング300万円が100%、塗装500万円が0%なら、 400万+300万+0=700万円が今月までの出来高です。前月までに400万円を請求済みなら、今月の請求は300万円になります。

工種ごとの進捗率は誰が決めるか

現場の担当者です。ただし「だいたい半分」では査定で揉めます。根拠を残せる決め方にします。

  • 数量で出す 施工済み面積 ÷ 全体面積。いちばん揉めにくい
  • 工程で出す 下地処理・プライマー・防水層・トップの4工程のうち2つ完了で50%
  • 写真で示す どこまで終わったかを工程写真で示す。査定の場で最も強い

3つ目の写真は、あるかないかで査定の速さが変わります。ただし工程写真は撮れる期間が短く、 次の工程が乗ったら撮り直せません。撮り漏らさないための組み立て方は工事写真の撮り忘れを防ぐ(ProcNova)にまとめています。

よくある失敗

全体で「だいたい60%」と丸める

工種ごとに出さないと、査定で減らされたときにどこを減らされたのか分からず、 次回の請求で二重に減る、あるいは請求漏れが起きます。工種別に積み上げます。

請求までの手順

  1. 1

    工種ごとの契約金額を確定させる

    見積の工種別金額に、契約時の値引き・端数処理を按分します。全工種を足すと契約金額に一致する状態にしておきます。ここがずれていると、最後まで合いません。工区の単位は工程表と揃えておくと、進捗の報告がそのまま請求の根拠になります。

  2. 2

    締め日時点の進捗率を工種ごとに出す

    現場から数量または工程で報告を上げます。写真を添えておくと査定が早く済みます。

  3. 3

    今月までの出来高を計算する

    工種ごとに「契約金額×進捗率」を出して合計します。これが着工からの累計です。

  4. 4

    前回までの請求済み額を差し引く

    累計から既に請求した分を引いた差額が、今月の請求額になります。

  5. 5

    請求書を発行する

    工種別の出来高内訳を添えると、査定がそのまま通りやすくなります。金額だけの請求書は差し戻されがちです。

合計を契約金額に一致させる

出来高請求でいちばん多いトラブルが、請求の合計が契約金額と合わないことです。 最終回で辻褄を合わせようとして、端数が残ったり、請求できない分が出たりします。

ずれる原因何が起きるか対処
値引きを工種に配っていない工種別金額の合計が見積金額のままで、契約金額を上回る契約時の値引き・端数処理を工種へ按分し、合計を契約金額に一致させる
追加工事を混ぜて請求している当初契約分と追加分の区別がつかず、最後に合わなくなる追加工事は別契約として立て、請求も分ける
実数精算の工種を割合で請求している精算時に実数との差額が出て、二重計上か請求漏れになる精算工事は割合請求の対象から外し、実数が出た時点で別に請求する
端数処理を毎回している1円単位の丸めが積み上がり、最終回で数百円合わない累計で計算し、前回までの請求済み額を引く方式にする(毎回の金額を丸めない)

最初の「値引きの按分」がとくに見落とされます。値引きは売価の調整なので、 工種別の金額に配り直さないと合計が合いません。考え方は原価管理のガイドでも触れています。

実数精算の工種をどう扱うか

防水の下地補修やシーリングの打ち替え延長など、開けてみないと数量が確定しない工種があります。 これを「精算工事」として、見積時は仮の数量で入れておき、完了後に実数で請求する取り決めをすることがあります。

この工種は割合請求の対象から外します。 実数で別に請求するため、割合の分母に残したままだと二重に請求することになります。

ポイント

精算工事は値引きの按分対象からも外すのが実務に合います。 見積時の単価をそのまま使って実数で請求するのに、そこに値引きを乗せると、 値引き後の金額で契約したのに精算分だけ値引き前の単価で請求することになってしまうためです。 値引きは精算以外の工種で吸収します。

運用を軽くするには

出来高請求は毎月発生します。工事が3件あれば毎月3回、工種ごとの進捗を集めて、 金額を計算して、請求書を作ることになります。ここが重いと、請求が遅れて資金繰りに響きます。

軽くする鍵は、現場の進捗報告がそのまま金額になる形にすることです。 その進捗が出てくる元は工程表なので、工区の割り方から揃えておくと後が楽になります (大規模修繕の工程表の作り方(ProcNova))。 現場が工種の進捗率を入れれば、契約金額との掛け算と前回分の差し引きは自動で出ます。 そこまでつながっていれば、事務所での作業は内容の確認と発行だけで済みます。

PROCMANA

ここまでの流れを、そのまま1つの画面で。

見積から実行予算・発注・原価・請求まで、同じ工事データの上でつながります。 サンプルデータですぐ触れます。登録もカードの入力も要りません。

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